渥美マリ / 夜のためいき +6 (1970)
( 昭和歌謡 , ムード歌謡, Jazz Pop )

1. ラストダンスは私と
2. 誰もいない海
3. ゆうべの秘密
4. 恋心
5. 真夜中のテラス
6. 時計
7. 可愛い悪魔
8. 爪
9. ベッドで煙草を吸わないで
10. 雨に濡れた慕情
11. 知りすぎたのね
12. 恋人よアロハ

13. 好きよ愛して
14. あなたにキッス
15. いいものあげる
16. 女の唇
17. なぎさ
18. 口笛吹いて
渥美マリ / 夜のためいき +6 (1970)

  世代的には私の世代ではなく、大阪万博(1970年)をリアル・タイムで体験してきた、現在50歳以上の世代にはひょっとしてジョン・レノンやボブ・ディランよりも影響力があったかもしれない伝説の女優、渥美まり。1950年11月20日生まれだから現在既に53歳。日本のどこかで普通の主婦として生活しているかもしれない渥美まりが30年以上も前、大阪万博が開催された年に発表されたアルバムが今回の主役。いやなに、完全なジャケ買いです^^;
  今回のCDは徳間ジャパンが企画した、昭和のカルトでモンドな内容のアルバムをが選出された『徳間ジャパン カルト・コレクション』シリーズの第二弾の中の一つ。渥美まり以外にも勝新太郎、山本リンダ、フラワー・メグ、中山千夏、李礼仙などの作品が発売されています。1970年代、いや、昭和40年代に青春時代を過ごした人にはいずれも懐かしいアイテムばかりなのでしょうが、40代前半の私にはイマイチ、ぴんときません。

  で、渥美マリ。クドイようですがジャケ買い。当時私が知っていた女優さんといえば円谷シリーズの特撮TVドラマに出ていた女優さんばかり。彼女のようなセクシー系女優さんなどに興味を持つ年齢にまだ達していなかった訳でして、渥美マリという名前を知ったのも彼女がスクリーンから姿を消したずっと後の事。リアル・タイムで渥美マリを知らない世代でも、彼女が出演した映画のタイトルを見れば、彼女の事がなんとなく想像出来るかもしれません。
  初出演作は大映がゴジラに対抗して製作した怪獣特撮物『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(これはリアル・タイムで劇場で見た!)。その後彼女はお色気路線にシフト、『高校生芸者』『ある女子高校医の記録 初体験』『続セックス・ドクターの記録』『ある女子高校医の記録 失神』『ある見習看護婦の記録 赤い制服』『ある女子高校医の記録 続・妊娠』『あなたの好み』『裸でだっこ』『可愛い悪魔 いいものあげる』と短期間の内に多くの映画出演をこなすなどの多忙な日々を送る事になるます。

  特に1969年から1970年の間に製作された『いそぎんちゃく』『続・いそぎんちゃく』『でんきくらげ』『夜のいそぎんちゃく』『しびれくらげ』等の映画は、俗に《軟体動物》シリーズとして余りにも有名。凄いです。低予算エロ映画の巨匠、ハリー・ノヴァクのイカレタ邦題程ではありませんが、映画のタイトルだけを見ただけでも内容が見てみたい、と誰もが思う事でしょう。まだ、シルヴィア・クリステルもアグネス・ラムもアニー・ベルも登場していない時代です。当時多感な青春時代を過ごした人にとっては、非常に思い入れの強いセクシー女優さんだった事は想像に難くありません。
  日本のブリジット・バルドーというべき渥美マリは真樹日佐夫/影丸譲也の原作による『非情学園 ワル』(1973年)を最後にどうやらスクリーンから消えてしまったようです。当時まだ23歳。一体なにがあったのか、今となっては知る由もありません。それにしても1950年生まれという事は彼女が活躍していたのは18歳〜21歳の頃。今見てもとてもそんな年齢には見えません。今時のカワイイ30歳タレントと当時の彼女のフェロモン出まくりのピンナップを比較すれば、いかに彼女が同時代の男性諸君の煩悩を悩ませた事か。出来ればリアル・タイムで遭遇したかったものです。


  今回登場したアルバムは彼女が1970年に発表したデビュー・アルバム(12曲収録)にシングルのみとして発表されていた「好きよ愛して/あなたにキッス」「いいものあげる/女の唇」「なぎさ/口笛吹いて」の6曲を追加収録したもの。ジャケ買いを天命とする私としてはアルバムの表紙を飾る渥美マリの悩ましい寝姿だけで購入する価値あり、と言えるでしょうが内容の方もなかなかどうして、昭和40年代の日本のムード歌謡曲の一旦を知る事の出来る絶好の一枚でもあります。
   「真夜中のテラス」「可愛い悪魔」は筒美京平作曲。これ以外にも作曲陣に中村泰士、なかにし礼、馬飼野俊一、いずみたく、平岡清二、大橋節夫といった有名所の名前がクレジットされています(カバー曲を含め)。「ツメ」「女の唇」といったジャズ・ナンバーも粋。お色気レコードとして昔から定評のあった作品だったそうですが、サウンドもなかなか捨てがたい。歌も上手ではないが女優さんだけあって、情感たっぷりに歌い上げる歌唱力も聴き所あり、と贔屓目に書いておきましょう。

  虫の息状態だった大映の死に際を延命した渥美マリでしたが彼女の所属していた大映は1971年に倒産。この後渥美マリは東映で数本の映画に出演するも再びスポットライトを浴びる事が出来ずに(一説には)自殺未遂事件を起こしたそうです。ちなみに当時の渥美マリに憧れて女優を目指した関根恵子もまた渥美マリと違うキャラで「高校生ブルース」「おさな妻」などに出演、殿方の煩悩を惑わしたのでありました。  


投稿日 : 2003/08/03 

inserted by FC2 system